3年ぶりとなるジャパン・ツアーが終了!最新LIVEレポートが到着。
ウクレレ界のレジェンド的存在で、その革新的なプレイスタイルで“ウクレレ界のジミ・ヘンドリックス”と称されるジェイク・シマブクロ。3年ぶりとなるジャパン・ツアーが10月21日、22日に東京Roppongi EX THEATERでファイナルを迎えた。熱狂の渦に巻き込んだファイナル公演のLIVEレポートをお届けする。
「Hey!! おひさしぶり~」と言いながら、ジェイク・シマブクロは笑顔で登場した。3年ぶりのジャパン・ツアーは、広島、福岡、京都、大阪、名古屋、横浜を回り、最終公演が東京の2Days。広いステージに2本のマイクと照明のみ。このシンプルさが期待を煽る。そして冒頭の2曲『オーバー・ザ・レインボー』と『レッツ・ダンス』は、ピンスポットに照らされながらソロで演奏。登場時には「ジェイク、かわいい~」という声が聞かれたが、全身全霊のパフォーマンスは、会場を制し、空気が一変する。そのなかで『レッツ・ダンス』は、高度なテクニックの連発から音のうねりが生み出され、CD音源を見失うほど独創的で、激アツだった。
3曲目に移る前にベーシストのジャクソン・ヴァルドホフが登場する。ジェイクが「彼はハワイ生まれの京都育ち」と英語で紹介すると、ジャクソンが「そうなんですよ」と日本語で応じる。そのやりとりにほのぼのするなか、『143』、『6/8』と続くが、『6/8』の途中で一瞬名曲『マイ・フェイバリット・シングス』のフレーズが聴こえてくる。この曲に見られるようにアレンジがジャズのような遊び心と共に高度に進化していて、そこで駆使されるテクニックに最後まで驚きが続く。
コロナ禍のインタビューで、ハワイの状況は深刻なので、自分の音楽よりリモートでも出来るボランティアを優先していると言っていたけれど、秘密の特訓もしていたんじゃないの?と思うほど進化を遂げたパフォーマンス。近くに座る女性2人は、熱心にオペラグラスでずっと見ている。きっとウクレレを習っている人なのだろう。
グレイトフル・デッドのカヴァー『フレンド・オブ・ザ・デヴィル』も「新しいアレンジです」と言いつつ、ルーパーを用いてウクレレの音を重ね合わせながら演奏していく。そのなかでエレクトリックの音からアコースティックへと切り替わった瞬間の美しさ。さらに緩急の展開と音色の多彩さ。これが一本のウクレレで成せるワザなのか。この後ビートルズのセクションとなり、『エリナー・リグビー』、『ア・デイ・イン・ザ・ライフ/サムシング』を弾くが、とりわけ『サムシング』の淡い音色がいい。
中盤となったところで、日本との関わりが深い『一期一会』と『島唄』が続くが、MCで「パンデミックによって“一期一会”の意味をより深く感じ、考えるようになった」と語り、弾き始めた。そこからまるで言葉を持つ歌のように伝わるジェイクの心。そして、『島唄』では自身のルーツの沖縄に馳せる思い、その心模様が叫ぶがごとく演奏から見えてくる。日本語で好きな言葉として「おかげさまで」と「負けて勝つ」をあげつつの演奏だったからか、つながりをより深く感じられたこの2曲が私のハイライトとなった。
ジェイクのライヴでも人気の高い『ボヘミアン・ラプソディ』。演奏前、一晩中ホテルの部屋で同曲を練習したというエピソードの披露に、この努力が小さな楽器の可能性を引き出し続け、ウクレレの領域を無限に広げている原動力なのだとあらためて思う。そこからライヴの定番曲『ドラゴン』、懐かしい曲と紹介された『オレンジ・ワールド』、そして、「宴たけなわですが」と語り、「イントロがカッコいい」と自慢するラスト・ナンバー『カヴィカ』となった。
アンコールは、まずベースのジャクソンとメドレーで演奏する『ウィ・ウィル・ロック・ユー』と『ホワイル・マイ・ギター・ジェンドリー・ウィーブス』。前者ではウクレレのボディを叩いたリズムがループで伴奏を務める。そして、2曲目はひとりとなり、『フラガール』を弾き始めると、ひと際大きな拍手が沸き起こる。メドレーで『ブルー・ローゼズ・フォーリング』、『クレイジー・G』と続いた後、興奮のなかで「一本締め」となった。誰もが聴きたいヒット曲という宝物があって、「一本締め」の他に幕開けあいさつの「よろしくお願いシマブクロ」というお約束事がある。
3年ぶりのジャパン・ツアーは、ジェイクのデビュー20周年とも重なった。20年の歳月のなかで前例なき道を歩んできたウクレレの革新と日本との絆を強くつよく感じる2時間となった。ジェイクが「いいヤツ」と褒めたジャクソンが通訳も兼ねるなか、日本語と英語のやりとりに温かなユーモアがあり、観客から笑い声がこぼれる。これってライヴの理想形ではないか。真摯な演奏に誰もが耳と目と心を奪われて、MCで人柄が感じられる。曲順など全体の構成も良かった。これからも進化し続けるはずだが、20年の節目に理想形を体験できて心躍り、さらなるステップアップがますます楽しみになってきた。またすぐにでも再会したいと思う。
LIVEレポート:服部のり子
JAKE SHIMABUKURO 2022 JAPAN TOUR スケジュール
広島10/14(金)BLUE LIVE
福岡10/15(土) SKALA ESPACIO
京都10/16(日) 磔磔
大阪10/17(月) サンケイホールブリーゼ
名古屋10/19(水) ダイアモンドホール
横浜10/20(木) 関内ホール
東京10/21(金),22(土) Roppongi EX THEATER
10/21(金),22(土) Roppongi EX THEATER セットリスト
1. オーバー・ザ・レインボー
2. レッツ・ダンス
3. 143
4. 6/8
5. フレンド・オブ・ザ・デヴィル
6. エリナー・リグビー
7. ア・デイ・イン・ザ・ライフ/サムシング
8. 一期一会
9. 島唄
10. ボヘミアン・ラプソディ
11. ドラゴン
12. オレンジ・ワールド
13. カヴィカ
EN1. ウィ・ウィル・ロック・ユー・メドレー/ホワイル・マイ・ギター・ジェンドリー・ウィーブス
EN2. フラガール/ブルー・ローゼズ・フォーリング/クレイジー・G
リリース情報
『ジェイク&フレンズ』発売中
CD
SICX-168-9 ¥4,000(税込)
※日本盤CDのみ2枚組
※Disc2はCDのみでのリリース。(配信でのリリースはございません)
収録曲
Disc 1
1. ア・プレイス・イン・ザ・サン – ジェイク・シマブクロ feat. ジャック・ジョンソン and ポーラ・フンガ
2. サニー・デイズ・アヘッド – ジェイク・シマブクロ feat. サニー・ランドレス
3. オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ – ジェイク・シマブクロ feat. ジギー・マーリー
4. ホワイ・ノット – ジェイク・シマブクロ feat. ケニー・ロギンス
5. スモーキン・ストリングス – ジェイク・シマブクロ feat. ビリー・ストリングス
6. ファインド・ユアセルフ – ジェイク・シマブクロ feat. ルーカス・ネルソン
7. オン・ザ・ロード・トゥ・フリーダム – ジェイク・シマブクロ feat. ウォーレン・ヘインズ
8. カム・マンデー – ジェイク・シマブクロ feat. ジミー・バフェット
9. サムシング – ジェイク・シマブクロ feat. ヴィンス・ギル and エイミー・グラント
10. トゥー・ハイ – ジェイク・シマブクロ feat. ムーン・タクシー
11. ア・デイ・イン・ザ・ライフ – ジェイク・シマブクロ feat. ジョン・アンダーソン
12. ゴー・ナウ – ジェイク・シマブクロ feat. マイケル・マクドナルド
13. ラッピング・ペーパー – ジェイク・シマブクロ feat. レイ・ベンソン and アスリープ・アット・ザ・ホイール
14. スターダスト – ジェイク・シマブクロ feat. ウィリー・ネルソン
15. ザ・ローズ – ジェイク・シマブクロ feat. ベッド・ミドラー
16. ゲッド・トゥギャザー – ジェイク・シマブクロ feat. ジェシ・コリン・ヤング
Disc 2
1. フラガール’21 – ジェイク・シマブクロ feat. ハーブ・オオタ・ジュニア
2. 粛々楽々 - ジェイク・シマブクロ feat. BEGIN
3. ブラームスの子守歌 ― ジェイク・シマブクロ feat. 押尾コータロー
4. マイ・ドリーム ― ジェイク・シマブクロ feat. SHEN
5. アクロス・ザ・ユニバース ― ジェイク・シマブクロ feat. シンディー・ローパー
6. ハッピー・クリスマス(戦争は終わった) - ジェイク・シマブクロ & ヨーヨー・マ
7. 一期一会~One Wish – ジェイク・シマブクロ meets 由紀さおり
8.麒麟紀行 II feat. ジェイク・シマブクロ Kirin Kiko II feat. Jake Shimabukuro
9.麒麟紀行 III feat. ジェイク・シマブクロKirin Kiko III feat. Jake Shimabukuro
※8&9 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」紀行より
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